悩み続けてしまう人へ 忘れっぽいは良いこと 【忘却の整理学】【書評】
忘却は、あなたの悩みを解決してくれる。
そんな話を信じますか?
ここでは外山滋比古さんの著書「忘却の整理学」をもとに、忘却の効用についてまとめました。
忘却することの効用
脳内のゴミ出し
朝起きると、もしくは昼寝から目が覚めると頭がスッキリして仕事がはかどる。
そんな経験、みなさんもありませんか?
これには、人間の脳に備わった機能である「忘却」が関わっているのです。
我々は日々、知識を記憶し忘却しと繰り返しています。
忘却時行われているのは、必要な記憶と不必要な記憶を選択し、脳内を整理すること。
忘却によって整理され、きれいになった頭で新しい知識、情報などを取り入れる、それで記憶が働くのである。混乱し、不要なものでいっぱいになった頭では記憶は十分にその能力を発揮することが難しい。(p16より抜粋)
【脳内におけるゴミ出しのプロセス】
忘却
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脳が整理される
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余白が十分に生まれる
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記憶が働く
つまり、忘却は知識を整理し新しい記憶や思考を手助けしてくれる働きを持っているのです。
「忘れる」は個性へとつながる
私達は記憶と忘却を繰り返す中で、意識的にも無意識的にも情報の選択を繰り返しています。
重要な仕事の予定を覚えておこうと意識するあまり、公共料金の支払いが遅れてしまったりプライベートの約束をすっぽかす、なんてことありませんか?
逆も当然有りえると思います。
では、そのような選択が行われるのはなぜでしょうか。
鍵を握るのは、「本人にとって重要かどうか」です。
取捨の判断は、その人間の、深層化している価値観、好悪、利害、快不快などの作り上げているネットワークを通すことで暗々裡(ひそかに)に行われる。きわめて個人的、個性的で、忘れ方は人によってみな違う。(p17より抜粋)
つまり、何を忘却するかという選択には個人差があるということです。
この忘却を繰り返していくと、やがて個性へと昇華していきます。
知識の記憶のみによって、個性を育むことはできない。…忘却はひとりひとり独自の忘れ方をする点で、個性的である。没個性的な知識を習得することを通じて個性が生まれるのは、つまり忘却の作用によるのである。(p18より抜粋)
【忘却が個性を育むメカニズム】
知識を記憶する…没個性
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忘却する…個性的
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選択された知識の積み重ね=その人の個性
人間がポジティブに生きられる理由
私達には成功体験を記憶することでどんどん挑戦しようという、ポジティブな側面があります。
一方で失敗体験に意識を向けすぎると、挑戦する意欲が失われたり「自分はもうダメなんだ」と思い込んでしまい、ネガティブになってしまいます。
ところで、周りを見渡してみるとどんどん新しいことに挑戦していて失敗してもめげないようなハングリー精神旺盛な人っていませんか。
実は私達がポジティブになれるのは、忘却による作用が関係してるのです。
どういうことか。
忘却によって頭が整理され、記憶が働くことは説明しました。
私達は、忘却のときに失敗体験を排除し、成功体験の方に記憶を働かせていることがわかったのです。
(頭は)成功したところだけを記憶し、失敗したことは、その都度、頭から消えて残らないようにする。成功だけを記憶に残して次のトライをする。…いくつもの段階、局面において《成功を記憶、失敗を亡失》を重ねていると、全体としてうまくできるようになる。(p30)
【脳内におけるゴミ出しのプロセス 《成功の記憶/失敗の亡失》】
忘却=失敗体験
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脳が整理される
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余白が十分に生まれる
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記憶が働く=成功体験
ここで注目してほしいのが、《成功を記憶》するためには《失敗を亡失》する必要があるということ。
記憶と忘却は正反対の関係に見えて、じつはお互いの能力を補い合う相補的な関係なのです。
終わりに
忘却の効用についてまとめました。
いかがでしたでしょうか。
「同じことについて四六時中悩んでいるのでは解決策は出てこない。一旦忘れて頭を空っぽにすると、突然妙案がひらめく時がある」
私が今までの経験則で見つけた、悩みへの対処法です。
その他にも紙に書き出すなどいろいろありますよね。
生きていると悩みはつきませんよね。
うまく付き合うための一助になれば幸いです。